僕の信条
僕は死ぬまで新しいことに挑戦したいと思っています。でも実際には人間は死ぬ瞬間まで新しいことに挑戦できるわけではありません。最後の10年くらいは新しい挑戦どころか逆にどんどん自分がこれまでに築いてきたものを失って行く局面だと思います。
僕の母はボケが来て、ついさっき話したことをまた繰り返すということを延々とやりました。その結果、周囲の家族や友人はだんだん母のことを疎ましく思い、家族や友人は離れてゆきました。
「ボケた人間は何をやりはじめるかわからない」という配慮から銀行通帳の管理とかまいにちの生活のスケジュールなども家族が母に代わってやるようになりました。それは善意から出たことです。しかし結果として母は貯金や自分の時間の使い方すら自由にならない状態になったのです。
このように人生の最後の局面では財産の処分、時間の使い方、友人との付き合い方、家族との付き合い方の全てに制約が生じ、最後は施設に入れられ社会から断絶した状態で人生を終わりました。
僕は母の最期を見て(ああ、自分もこうなるのだな)と思いました。
いま僕は63歳です。母のボケが酷くなり始めたのは70歳くらいからだったと記憶しています。僕も母の遺伝子を引き継いでいるので、あとせいぜい10年くらいしか残されてないということです。
デビッド・ボウイが1972年に出した「ジギー・スターダスト」というアルバムに収録された「ファイブ・イヤーズ」という唄があります。あと5年で世界が終焉してしまうことを告げられた若者たちが、それを嘆く唄です。これは今の僕の心象風景に重なります。僕の場合はファイブ・イヤーズではなく、テン・イヤーズくらいだと思いますけど。
残された10年で、なにをやる?
そこで問題になるのが「残された10年で、なにをやる?」ということです。僕のサブスタックではこの部分、つまり「自分がやってきたことの集大成として最後の10年をどう仕上げる?」という命題について掘り下げてゆきたいと思います。
これは株式投資をやる人にも大いに関係のあるテーマです。なぜなら株式投資は段取りが全てだからです。
心の準備、リスクへの備え、知識の準備……そういうものが出来てない人が犬も歩けば棒に当たる式にめくらめっぽうトレードしても投資には成功しません。
なるほど、仮想通貨でイッパツ当てた!……というようなラッキーはあるけれど、それは成功の再現性が無いアプローチです。投資では成功の再現性がカギを握ります。
それを担保するには勝てるメソッドを確立する必要があります。
僕は投資にずっと関わってきた関係で、自分にできることは投資しかありません。ただ、最後の10年は株式だけに投資していてはダメです。
なぜなら冒頭で書いた通り金融資産は墓場に持って行けないので、それだけを積み上げる行為は空しいから。
母は僕の名前はわからなくなってもアメリカ人である僕のワイフの名前は最後まで覚えていました。自慢の嫁だったから。いっぽうワイフも母の面倒をよく見ました。
そこで僕は自分の人生の総仕上げとして次の三つのことに打ち込もうと考えています。
1. 人への投資
2. 国への投資
3. 企業への投資
このうち3. は僕がいままでずっとやってきたことであり、新鮮味はありません。1. と2. は新しい挑戦になります。
幸福の度合いは他人とのつながりでしか測れない
実はこれらに関しては2022年を通じて着々と準備してきました。だから基本方針はもう固まっています。
人への投資が株式投資と違う点は、人間は利潤証券ではないということです。従って成功はキャピタルゲインでは測れません。
その人の人生にポジティブなインパクトを与えることが出来たか? というような基準で評価すべきです。
若い人たちの人生に貢献することが出来ればそれでじゅうぶん。
幸福の度合いは、他人との関係性でしか測ることはできません。人間が社会的な動物である以上、死ぬ時どんなにお金を持っていたところでつながりが無ければ惨めです。
それでは一体誰に自分のリソースを振り向ける? もっと言えば自分が投資する対象は、ほぼ人選は終わっています。
今後1~2名付け加えることはあるかも知れないけれど、これは長期で取り組まないといけない活動なのでキョロキョロよそ見はできません。
いまの人選に満足しています。
人選にあたっては僕なりの方法論があり、それは今後、このサブスタックで披露してゆこうと思っています。
母の最期を思い出せば、結局、血のつながった実の子である僕より母はアメリカ人の僕のワイフに心の救いを求めました。これが示すごとく「人生の意味付け」をもたらすのは血のつながっている親子でる必要は無いのです。そしてそれは世代を超えたつながりかも知れません。
広瀬さんと同年輩です。
ちょうど一年前の1月1日にマレーシア人の最愛の妻を病気で亡くすまで、僕の人生の目標は彼女を幸せにする事でした。それ以来なぜ自分が生きているのか、生きる目標は何なのかを見失い悩んでいます。
先日ある方に相談したら「今それがわかなくても良い、しかしそれを求め続けることが大事。それを見つけた時は何歳でもそれに挑戦しなさい。」とアドバイスを頂きました。
広瀬さんの最後の10年を拝見しながら、僕が最後に挑戦する事は何なのか探していきます。
拝見しました。当方58歳になります。お恥ずかしい話ですが、早期退職し、高校の講師をしながら、この先の人生に迷っています。広瀬さんのサブスクに触れ、何かを得られるかもしれないと思いました。今後とも宜しくお願いします。